あ と が き
 ぼくは子供のころから、本当にあった怖い話を聞くのが大好きだった。『四谷怪談』や『ロンドン塔の怪異』はもちろん、人魂や幽霊の話を聞くとわくわくして、眠れなくなるほど興奮したものだ。一言でいってしまえば、未知なるものへの憧れが強かったのだろう。
 だがその未知なるものは宇宙の果てや、深海の底にあるのではなく、この世界と重なりあって存在している。普段はそれを知覚することができないけれど、ふとしたはずみに見たり、聞いたりすることがある。と、いうところに惹かれたのだ。
 しかし十代から二十代にかけて、徹底した無神論者になったぼくは、そういう話を一切信じなくなった。その考え方を変えたのは、自分自身が何度も奇妙な体験をした後のことである。
 20世紀の初め、イギリスのオリバー・ロッジを中心とする科学者達が、物理的に霊現象を説明するために、さまざまな仮説を発表して、アインシュタインまでもがそれを追認した時代があった。しかし決定的な説明はできないまま20世紀は終わり、21世紀を迎えようとしている。
 ぼくは先駆者達のように、霊現象が実在することを証明しようとは思わない。むしろ不思議な体験をしたときに感じる、あのなんともいえない爽快感――常識の鎖から解き放たれる解放感――を共有したくてこのHPを作りはじめたのだ。
 ここに紹介するぼくの体験談は、すべて事実である。少なくともぼくはそう信じている。だが、自分のすべての体験をここで披露するつもりはない。経験によれば、そうした不思議な現象の60%は、起こっても起こらなくても実生活になんの影響もおよぼさない。30%は、そうした現象が人生にとってプラスになる。そして残り10%は、非常に有害である。
 一般的にこうした怪奇実話では、有害な10%が誇張して伝えられることが多い。ぼくにもそういう虫唾が走るような体験があるが、それは自分の胸にしまってここでは語らない。読んで楽しい実話を厳選したつもりだ。
 そういう体験はたくさんあるので、まだまだこれから更新していくつもりでいる。みなさんも同じような体験をお持ちであれば、ぜひここで語ってみてください。
 最後に、ぼくの主旨に賛同して応援してくださった、シップスの井上堯男社長。プロデューサーの菊池優さん。ぼくのわがままにつきあってすばらしいセンスでHPを立ち上げてくれた、作家の涼風涼さん。イラストを描いてくださった渋江喜久夫さん、引地渉さん、陰ながら応援してくれた友人の鎌田清さん、そして実現のために力を貸してくださったみなさんに心より感謝します。

西谷史