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―― 分析1 ――
行方不明になっていた漁師が、生首になって帰還したというすさまじい話だが、モーガンコッドは餌を丸のみにする習性があるので、おそらく鮫に食いちぎられた生首を呑み込んだ魚が網にかかったのだろう。きわめて珍しい事件だが、海の歴史を紐解くともっと不思議な生還劇がいくつかある。
★事例その一
1841年、カナダのプリンスエドワード島に、チャールズ・コフランという男の子が生まれた。英国に渡り、有名な舞台俳優になったコフランは、1898年テキサス州でシェクスピアの公演中に亡くなって現地に葬られた。そして1900年、大洪水があたりを襲い、コフランの棺は泥流に呑み込まれていずこへともなく消えた。
それから8年後、コフランの生まれ故郷であるプリンスエドワード島の漁師が、ぼろぼろになった大きな箱が海面に浮かんでいるのを見つけて引き寄せた。なんとそれは行方不明になったコフランの棺で、中にはコフランの亡骸が眠っていたのである。彼の遺骸は8年の歳月をかけて、北米大陸を半周して故郷の島にたどりついた。まさしくこれは海の奇跡と呼ばねばなるまい。
★事例その二
行方不明になった人や物が、海の力によって故郷に帰って来たという事例は意外に多い。
たとえば幸運な事例として、数年前にインド洋でバングラディシュの漁船から転落した漁師が、たまたまそばに浮かんだ海亀にすがりついて故郷の港にたどりついたという、浦島太郎も顔負けの事件があった。これほどドラマチックではないが、日本でも漁船から転落した漁師が、イルカに助けられて海岸に泳ぎ着いたり、マンボウにすがりついて救出されたという例がある。
★事例その三
1894年に西インド諸島で建造されたミネルバ号という帆船が、処女航海の最中に行方不明になった。それから2年後、水も食料も尽きはてて無人の船になったミネルバ号は、何千キロもの距離を航海して、故郷の港に幽霊船のごとく帰還した。
こうしたさまざまな帰還事件は、潮の流れや生物の習性で説明することはできるだろう。しかし広大な海の中で、人や船は一つの点にすぎない。その点が数千キロの海原を旅して、ピンポイントの正確さで元の場所に戻る確率というのはどれほどのものなのだろう。こうした事件には、偶然の一致以上のなにかの力が働いているように思われてならない。
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