―― 分析1 ――
榛名山にかぎらず、修験道や密教の聖地とされている場所は、ほとんどが女性の入山を禁じていた。だから女性が入山できる室生寺などは、女人高野と呼ばれて信仰を集めてきた。
これは日本だけのことではない。ギリシャのアトス山を初めとするキリスト教の聖地でも、女性の立ち入りを禁じている場所は多い。イスラム教やユダヤ教でも同じである。その理由は三つある。
1. 男の修行者が、女性と接することによって煩悩が生じないようにという、修行者への配慮。
2. 女性は生理のために血を流す。その血が不浄と見なされた。
3. 祭神が女性であるため、男性しか入ってはいけない。
仏教の聖地は1の要素が強く、一神教は2の要素が強いように思う。というのも、仏教の聖地で女性の立ち入りを禁じていたところは、ほとんどが修行するための施設を備えた寺院であった。教義として女性を蔑視しているわけではないから、女性差別はいけないという世論が強くなると、あっさりと女性に門戸を開放したところが多い。
一方、一神教の場合は「生理中の女性は穢れているから聖所に近寄ってはならない」と、旧約聖書に記されているために、いまでも女人禁制を守っている場所が多い。
そして古代宗教では3の要素が重視される。たとえばギリシャのデルフォイは、神託を受ける場所として有名だが、かつて女神ガイアを祀っていたころは、そこに近づけたのは男性だけであった。しかし祭神が男神アポロンに変ると、巫女しか近づけなくなってしまった。榛名山の事例は、この3に近いようだ。 |